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雲のように飄々と…月のように夜道を照らし…
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近年、問題になっている社会格差やワーキング・プアに絡むお話です。
以前、軽く触れた事もございますが、私は高校生の頃から歳をごまかして繁華街で働いておりました。16歳の現役高校生が正社員として働いていたのです。何ともいい加減な時代だったのであります。
その当時の給料は基本給が15万円、何の手当ても無い上にクリーニング代の6千円を引かれ、手取りは14万4千円でした。あまりにも簡単な計算なので、未だにハッキリと覚えております・・・。
夕方の4時に店に入り、終るのは朝5時近く、一日13時間の労働です。ナイトクラブのウェイターは、建築作業員よりもキツい重労働なのです。トレンチ(銀のお盆)の上に、ガラス瓶のミネラルウォーターを16本乗せて、ずっと走り回っているようなものなのです。
世間を知らないガキだから勤まったようなもので、私よりもずっと年上の新入りは皆1週間ももたずにヤメて行きました。中には休憩時間にタバコを買いに行ったまま行方をくらませる者までおりました・・・。今思えば、とんでもない職場であります・・・(汗)。
出勤は地下鉄、帰りはタクシー、交通費だけでも3万以上かかってしまいます。実質、10万程度で働いていた事になります。高校生に10万は大きい額ですが、大人が一人で暮らしていこうと思えば冗談では済まされない収入であります。新人が次々ヤメて行くのも納得ができるというものです。
30代後半のマネージャーが19万、40半ばの店長が25万の手取りだったそうです。時はバブルの真最中、今になって考えると本当にとんでもない会社であります・・・。しかし、水商売の男なんて当時はどこもそんなもんだったのです。私共にも大きな違和感はございませんでした。
社会情勢の所為なのか、無謀と言えるほどに若かった所為なのか、それとも単に馬鹿だった所為なのか・・・。いつも漠然と大きな希望を持っておりました。矢沢永吉の『成り上がり』なんて本も中学の時に読んでいましたし、少なからず影響は受けていたのかもしれません。
表現しづらいのですが「今に見てろよ!一発当ててやるぜ!」というような事ばかり考えて暮らしておりました。やはり、世間知らずの阿呆だったのかもしれません・・・(笑)。しかしながら、格好の良い言い方をすれば、夢も希望もあった訳であります。
現在、問題になっている『ワーキング・プア』。
何か英語で誤魔化されている気がして仕方がないのですが、要するに貧困層という事であります。私らがまだガキの頃の低所得者層とは、少し意味合いが違うと考えております。何が違うのかと申しますと、今のワーキング・プアと呼ばれる人達は、夢や希望すら持てない状況だからであります。
私は、両親の努力のお陰で何不自由の無い家庭で育ちました。しかし育った地域は、格安な市営団地を抱えたいわゆる低所得者層が多い所でした。片親や生活保護の家庭が普通に存在し、私らもそれらの事を意識した事はありませんでした。私らの地域では、当たり前の事だったのです。
愛する地元を悪くは言いたくありませんが、極端な言い方をすると小規模なスラムであります。そんなガラの悪い地域でしたが、今時のような疲弊感というものを感じた覚えは一切無いのです。それどころか近所仲が良く、笑顔が溢れていた気がします。
誰もが懸命に働く事に疑問を持っておりませんでした。いつかは金持ちになってやろうとか、きらびやかな暮らしに対しての羨望とかが希薄だったという事なのでしょう。精神論になってしまいますが、現在セレブとか呼ばれている成金が美徳とされていなかったんですね。
銭に対して極端な欲を持っていないワケですから、現在の自分達の暮らしを悲観する理由も無いワケです。物が無い時代に育った人達は、当時でも便利で快適に感じていたのでしょうね。貧乏だと言っても、住む所もあれば、風呂もあり、TVも冷蔵庫も洗濯機もビデオも揃ってるんですから。
問題は、我々の世代にあるのかもしれません。物に恵まれ育った私ら世代は、銭の有る無しで良し悪しを決めてしまいがちです。儲かる仕事は良い仕事、稼げない仕事は悪い仕事。汚れる仕事は格好悪い、スーツを着てシュッとしてるのが格好良い仕事。こんな感じです。
拝金主義という表現をお借りしますが、この拝金主義こそが全てを歪めてしまった根源であると考えております。そして、分配の仕方が大きく間違っているのです。どこの何様が何と言おうとも、物を作り出す現場の人間に一番多く分配するのが正しい事なのです。
以前にも触れた事があると思いますが、私は現場至上主義であります。家を実際に建てた大工よりも、家を売った営業マンの方が多く配当を貰えるという事に我慢がなりません。作った人に一番配当を与えるのが正しい事だと信じております。
これは、全ての事に当て嵌まる事だと思うのです。作る人がいて、現場の人間がいて、はじめて売る事ができるんです。海外に製造を全て依存して、日本国民は全員でそれを売るというのなら話は別ですが・・・。そんな事ぁ、あるワケがありません。
資本主義の原則には反するかもしれませんが、労働者ってものをもっともっと大切にするべきなんです。真面目にこつこつ働いていれば、40~50代には小さくても家が持てる位が理想的ですね。そうじゃなければいけません・・・。
最近は・・・、いや最近ではないのかもしれませんが、実体の定かで無い物事に銭の流れが集中していると思うのです。言い出しゃキリがないのですが、人材派遣だの、株屋だの・・・。人材派遣については、私らも似たような事をしておりますが、現場の人間を第一に考えております。
人材派遣は、所詮ピンハネ業であります。現場の労働ありきの話なんですから、会社が潤うほどハネちゃあいけないのです。派遣会社の社員が、社会保険やらボーナスを保証されていて、派遣される子らがワーキング・プアになるのでは、意味が解からんでしょう。
腐れ銀行共だって、派遣会社の社員にはローンを通しますが、現場の子らには通しません。これじゃあ、鵜飼いと鵜の関係ですよ。とてもじゃないが、まともじゃありません・・・。これが、まかり通っているのだから恐ろしい世の中です。
コムスンを代表とした介護業界もそうであります。現場で働くヘルパーが、大変な思いをして働いた銭をガッツリとハネるのですから。それで会社を上場して、株を回して更に銭を作るんです。虚の部分に銭が集中して、実の部分である現場には還元される事が無いんです。
これは、コムスンだけの問題ではありません。介護業界の大半は似たような事になっております。人材派遣だって同じ事、グッドウィルが叩かれておりますが、大手の派遣会社は皆似たようなものなんです。働く人間を、魚を取って来るだけの鵜だと思っているのです。
株屋の連中なんて、その存在自体が虚みたいなものでしょう。銭をあっちこっちに動かすだけで、何も生み出してはいないのです。この人なら良い物を生産できる、この人なら良い会社を運営できる、だから資本を融通しましょう。ってぇのが、本来の投資って物なのです。昨日買った株を今日売って、なんてぇのは本来の目的から全然外れているんです。
投資家だの、マネートレーダーだのって気取った呼び方をされていますが、何を生み出す事も無い、世の中には必要の無い連中なんです。ヤツらがいなくても誰も困りませんが、労働者がいなくなったら社会は機能しないんです。どちらに重きを置くかなんて、考えるまでもございません。
社会に対する暴言と思われるかもしれませんが、TVのCMに流れている会社の大半が怪しいものなんです。保険会社、自動車会社、金融会社、IT関連・・・etc。CMをやめたからって極端に売り上げが下がる事が無い会社が多いんです。
TVのCMで見たからって言って、アイフルに金を借りに行くヤツがいますか? 同じくCMを見たからって、トラックを買う運送屋がいますか? CMなんて見なくても銭に困ったヤツは金貸しの所に行くんです。運送屋はあれこれと性能の情報を調べてトラックを買うんです。CMなんて関係無いんです。ただ宣伝費として余剰利益を削りたいだけでしょう。余剰利益なんて出す位なら、社員に還元すりゃ良いんです。
有名タレントに高いギャラ払って、何億ものCM料を払って、また何も生み出さない側に銭が流れていくワケです。TVを筆頭にメディアというものは、正しく使えばもの凄く社会の役に立ちますが、現状ではマイナスの部分の方が多く感じます。労働者に払うべき金が、また虚の部分に流れ込むのです。
農家より農協の方が、漁師より漁協の方が、酪農家より乳製品業者の方が、職人よりも営業の方が、町工場より木っ端役人の方が・・・etc。多くの場合において、人のふんどしで相撲をとっている連中の方が銭を稼いでいるワケです。
全ての歯車がおかしくなっております・・・
私は、ワーキング・プアについて、最近まで大きな勘違いをしておりました。銭にならない仕事にしがみついていないで、とっとと転職すりゃいいだろう・・・と思っていたのです。銭にならん仕事を捨てて、サクッと転職しないのが悪い。転職できないのは能力が足りないからだ。そんな風に思っていました。
これは、私の昔の経験を踏まえた上での考えです。私は、根が不真面目だった為に、銭になる方に流されて生きてきましたから・・・。真面目に一つの仕事に打ち込んでる人の気持ちが見えていなかったのです。
転職しようにも条件の良い仕事は年齢でハネられ、就職活動をしようにも寝る間も無く働いて、今の仕事をヤメるにしても蓄えなんて無いので明日からの生活にすら困る。抜け出すのも生易しい事ではありません。
それでも何とかして、今現在ワーキング・プアと呼ばれている方々が、転職して今の生活を抜け出せたとしても、またその抜けたポジションに誰かが入る事になるワケです。延々とそのポジションに誰かがハマり、このままでは永遠に解決する事なんてできないのです。
そんな現状を余儀無くされて、TVで成金共の浮かれた生活を見たら、やってられませんよ。将来に希望を持つどころか、絶望しか見えなくなります。これじゃあ、イカんのです・・・。浮かれたバカの将来が暗いのならともかく、真面目な人達がこんな目に遭うようじゃ、健全な社会とは言えません。
マネーゲームの虚の世界、実である現場の世界・・・
どうやれば正常になるかに悩んでいます。政治が悪いというのは簡単なのですが、どこをどう治せば良いのやら・・・。
先ずは自分の周りの小さな範囲で、自分に関わる者を潤わせていくのが正解なのかもしれません・・・。
しかしねぇ・・・、それじゃあイカんのですよねぇ・・・