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雲のように…月のように…

雲のように飄々と…月のように夜道を照らし…

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留置場①

築1年、最新設備の留置場は、清潔で無機質な建物でした。
場内は明るいのに、何故か全体的に冷たい感じがします。まぁ、留置場ですから、それが当たり前かもしれません(笑)。1階が管理事務所、面会室や取調室、2階が留置室や、風呂、運動場、医務室になっています。

雑居房の広さは6畳+トイレで定員は4人、独居房は3畳+トイレ。部屋の中には何も無く、ダンボールのゴミ箱が一つあるだけです。自傷行為や自殺を防ぐ為であります。床は柔道畳のような硬い畳、重々しい鉄のドアと、開閉式の食事孔、壁も天井も白く塗られたコンクリートです。冷房も完備されていて、房内でゴロゴロしていると寒い位でした。

留置場も、他の矯正施設と同様に、複数の人間が同室の雑居房と、1室1名の独居房が存在します。他人との共同生活が難しいと判断された人間・・・、例えば暴力犯であったり、性犯罪者、病人やケガ人、薬で頭のおかしくなった奴などが、独居にブチ込まれます。その他、どこぞの親分クラスの方々も、自動的に独居行きとなるのです。

はっきりとした理由は分かりませんが、私は何故か独居に入れられました・・・(汗)。さほど偉い立場にある訳でも無いし、凶暴な暴力犯でもありません。むしろ、フレンドリーな筈なのに・・・。

留置の朝はAM6:30。
布団をたたみ、廊下にある寝具入れに運びます。この時は、一部屋ずつ開錠し、オヤジの監視の下で廊下に出ます。床出しが終ると各房に、バケツ、雑巾、ホウキが入れられ各々房内を清掃します。次は、洗面です。廊下には流しと整理棚(洗面用具、歯ブラシ等)が設置されており、当然オヤジの監視の下で行われます。

房に戻るとすぐに朝食、時間はAM6:50。
朝飯が一番大変でした。早朝に食欲なんて有る訳がございません。恥ずかしながら、こんな暮らしをした事がありませんから・・・(汗)。そして、朝食後の1時間は何もする事がありません。

大体AM8:00位に一日で一番の楽しみ、運動の時間です。運動とは名ばかりで、タバコを2本吸うための時間です。独居の私は、運動と風呂の時だけが、他の房の人間と話が出来る唯一の時間です。運動時間は10分、爪を切ったり、綿棒で耳掃除をするのもこの時です。10分は、あっと言う間に終ります・・・(泣)。

AM9:00まで、何もする事がありません・・・。
何もしないこの約1時間が、とにかく長いのです・・・。雑居なら会話も出来るのでしょうが、独居は退屈で仕方がないのです。腕立て伏せや、腹筋をしていたのですが、さすがに1時間も続けられません。

AM9:00からは、本を読む事が出来ます。
本には、私本と官本があります。私本は、差し入れしてもらった本、購買日に注文して買った本の事で、廊下にある個人ロッカーに保管する事が出来ます。官本は、施設側が貸してくれる本の事で、小説類が150冊位ありました。

私本・官本合わせて1日3冊まで、房内に入れる事ができます。3冊しか選べませんし、交換できませんので本選びは真剣です。差し入れてもらったマンガや雑誌は、すぐに読み終わってしまうので、官の小説を2冊、私本を1冊というのが私のパターンでした。

留置場での約50日で60~70冊の小説を読みました。独居には読書しかないのであります・・・。
『佐賀のがばいばあちゃん』が面白かったですね。一番最後の部分で思わず涙が出てしまい、この時ばかりは独居で良かったなぁ・・・、と思いました(笑)。

風呂は、火曜と土曜の週2回、入浴時間は20分であります。ヒゲ剃りは電気カミソリのみで、月・水・金の3回です。1日1度、新聞も回ってきます。新聞は1人10分間、短い・・・。土・日は、運動(タバコ)がありません・・・、最悪です。

昼飯は正午チョイ前、食事孔から入れてもらいます。
毎食、仕出し屋の弁当で、かなり立派な飯であります。こういう所の飯はマズいものだと、昔から相場が決っている筈なのに・・・、驚きました。飯とおかずとが別々に一段ずつ、熱い味噌汁に、キュっと冷えた水、そして必ず醤油(どんなおかずにも醤油のみ)、これが1セットで出てきます。

私は気をつけて、なるべく半分位しか食べないようにしておりました。あんなもん、残さず平らげていたら、どこまでも太ってしまいます・・・(汗)。食うのに困って、わざと捕まる人間がいる事も理解できるというものです。娑婆で苦労するよりも、良い飯が食えるかもしれません。

正午から30分程ラジオが流れ、それが終ると晩飯までひたすら読書タイムです。暇過ぎて、取調べがあると思わず喜んでしまいます(笑)。ちなみにPM1:30からは、購買で買った甘シャリを房に入れる事が出来ます。娑婆では甘シャリなんて食べる習慣は無かったのですが、つい何となく食べてしまうものです。

晩飯はPM6:00です。
PM6:30~7:00まで、又ラジオが流れます。PM7:30位から順番に床入れ(布団を房に入れる事)が始まります。開始室は毎日順番に回って行きますので、時間は多少前後します。そして、床入れが終ると夜の洗面。この時に、本も甘シャリも房から出さなくてはいけません。

ここで、大体PM8:00。
これからが、1日で一番辛くて長い時間であります。消灯はPM9:30ですが、暗くなったところでそんな時間に眠れる訳がございません。眠れないからと言って、代わりに何もする事が無いのです。
どうしろってんだ、全く・・・。

強烈な暇というものは、ある意味で立派な拷問ですね・・・(汗)。


暇との闘い・・・、これが留置場での暮らしです。(-_-メ)

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