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雲のように飄々と…月のように夜道を照らし…
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22日間の勾留期間が終わり、無事(?)に起訴となりました。
もしかしたら嫌がらせで、別件の再逮捕があるかな・・・と予想していたので、ひとまず安心いたしました。起訴と同時に、やっと接見禁止が外れました。
接見禁止とは、証拠の隠滅などを防止する為に外部との接触(面会や手紙)を一切禁止するという処置です。(弁護士とだけは面会できます。)接見禁止は、検事の独自の判断で簡単に決定できるのです。私の場合、証拠書類など全て押収されていますので、証拠の隠滅なんてある訳がございません。接見禁止だった意味が解かりません。あのクソ検事め・・・。
何はともあれ、面会はできるし、手紙も出せるようになりました。
面会は1日1回たったの10分だけ、手紙も1日1通しか出せません。1日1回は少ないですよねぇ・・・。しかしたったそれだけでも、外と連絡が取れるのは、何とも嬉しいものなのです。
雑居房に入っていれば、こんなに変な奴がいたとか、面白い出会いがあった・・・なんて土産話が出来たかもしれません。しかしながら、独居で引き篭もり状態・・・、同じ時期にどんな人間が入っていたのかもロクロク知りません。残念です・・・。
そのかわりと言っては何ですが、オヤジ共(看守)とは随分仲良くなりました。留置場は警察の管轄、当然この施設で働く人間は全て警察官であります。私は商売柄、基本的に警察は敵だと思っております(笑)。しかし、どこの署でもそうなのですが、留置係には親切で良い人間が多いのです。
彼らは捜査員じゃないので、こちらも変に警戒せず普通に付き合えるのでしょう。そして彼らも、所詮は自分でパクッってきた犯人ではないので、こちらを敵対視はしていないのでしょう。こんな所(留置場)で感じの悪い態度をとって、犯罪者達に恨みを買うのもアホらしいですからね。本当に親切なもんです。
私が居た留置も、例外ではありませんでした。皆、親切でフレンドリー、言い争いになど一度もなりませんでした。言い争いどころか、最後の方にはお互いの愚痴を「うん、うん・・・」と聞き合い、「お互い大変だけど頑張ろうな!」なんて励まし合うほどに仲良くなっておりました。ある意味、ムショ仲間的な共感の仕方ですよね(笑)。
留置係も様々で、下は21歳から、上は50代半ばまで、ここに配属になるまでの経歴もバラバラであります。交通一筋だった者、1課で殺人ばかり担当していた者、市内の2課、マル暴あがり、地方を転々としていた者・・・etc、何を基準に人事をしているのか全く理解ができません(汗)。当の本人たちが、一番強く疑問に思っている様です(笑)。
まだ20代前半で、実に面白い奴がおりました。トークが面白い訳ではなく、私生活のだらしなさ加減がウケるのです。車やら、バイクやら、薄型テレビやら、時計やら、何やらカンやらと全てローンで買いまくり、給料日当日に殆どが支払いで無くなってしまうそうです。若い公務員は薄給だというのに・・・、調子コキ過ぎです(笑)。
「普段何食ってんのよ?」と聞くと「焼きそば。」と答えます。
スーパーで良く目にする、3玉入りの粉ソースが付いたポピュラーな焼きそばだそうです。具無しで食ってるそうです(笑)。
「1日3食その焼きそばか?」と軽い気持ちで冷やかしてみると、1日に3回も飯を食う事は無く、1日何も食べない日もあるとの事・・・。
「俺の銭、宅下げ(※)してやるから、何か好きな物食って来い!」と思わず言ってしまいました。
「気持ちだけで良いです・・・。」と笑っておりました。娑婆に戻ったら、何か美味い物でもご馳走してやろうと思いました。だって、檻の中にいる者の方が、よっぽど良い物を食っているのですから・・・(汗)。
※宅下げ(たくさげ):勾留中の人間の物を、外部の人間に持っていって貰う手続きの事です。
約50日間、留置場におりました。
気が狂うほど外に出たいと思っているのに、そこで働く連中にはスッカリ情が移ってしまいました。何人かとは「娑婆で一杯やろう・・・」と約束いたしました。
この約束は、まだ果たされておりませんが、とても楽しみにしております(笑)。