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雲のように…月のように…

雲のように飄々と…月のように夜道を照らし…

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留置場③

拘置支所への移送が決定しました。移送は突然に決るものなのです。大抵は前日の夕方に連絡を受けます。留置場では、手紙を1日1通しか出せませんから、1人にしか連絡が出来ないという事になります。半ば嫌がらせのようなものであります。

留置場で購入した甘シャリは、拘置所には持ち込めません。タバコとライターも、入所時に捨てられてしまいます(怒)。タバコとはしばらくの間、完璧にお別れであります・・・。

すっかり慣れ親しんだ、オヤジ達ともお別れであります。皆、私の房の前で足を止め、色々と声をかけてくれました。「頑張って!」「娑婆で会おう。」なんてぇのが多かったですね。中には「又、おいでよ(笑)」なんて馬鹿な事を言う奴もおりました。笑えねぇ・・・(怒)。

比較的ほがらかな人間の多い留置係の中では、少~しトゲのあるSさんという人がいました。歳は私よりも少し上だと思います。誰にでも愛想が良いというタイプではない彼が、勤務交代の最後に私の所にやって来ました。

「環境が変わっただけで風邪をひいたり、体調が悪くなったりする事があるから、とにかく身体には気をつけて・・・。勤務交代だから最後まで見送れないけど、未決(拘置所)でも頑張って・・・。弁当(執行猶予)で済むように祈ってるから、娑婆に戻ったら正面の入口から遊びにおいでよ。本当に頑張ってな!」

正面の入口は一般客(差し入れや面会に来る人)用で、裏口は護送車を付けられる様になっている被疑者用になっているのです。正面の入口から・・・というのは、ちょっと粋な言い回しですね。

裁判がうまく行くように祈ってる・・・という言葉に、涙が出そうになりました。ひと昔前の私なら、彼らと仲良くなる事も無かったかもしれません。たったの50日程度の勾留で、サツ嫌いな私が彼らに情を感じてしまうことに、自分自身驚いてしまいました。不思議なものです。歳と共に情に脆くなっているのかなぁ・・・なんて思いましたが、それも素直に受け入れる事にいたしました(笑)。

シフトの関係で、何人かのオヤジに挨拶をする事が出来ませんでした。裁判が決着したら必ず行こうと思っております。最後も何人かのオヤジが、わざわざ外まで出てきて護送車を見送ってくれました。その中に何故か偉い役職の人も混ざって、手を振っておりました(笑)。

どうやら私、結構人気があったようです・・・(?_?)


護送には『集中』と『単便』とがございます。『集中』は、バスで複数の人間をドサッと護送する事で、1日2回各署と検察庁・拘置所のコースを巡回します。『単便』は1人だけを護送する事、いわゆる申し送りという奴です。

私には『単便』が組まれました。
拘置所に着くまでの間、オヤジが隠し持たせてくれたタバコを吸う事が出来ます(笑)。最後の温情ですね。実に良い一服でした。


5本も吸い終わる頃、拘置所に到着いたしました。

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