[PR]
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
雲のように飄々と…月のように夜道を照らし…
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
最近あった揉め事のお話です。
私よりも10歳近く上、40も半ばにかかる板前さんがおります。田舎の港町の出身で、ちょっと高級な店に勤めております。年下の私にも敬語を使ってくれる物腰の柔らかい丁寧な人なのですが、実はなかなかの暴れん坊で有名な人でもあるのです(笑)。
その板前さんが、夏に傷害事件を起こし数日間留置されました。
仕事帰りに同僚とコンビニで弁当を選んでいたところ、後ろから2人組の若者に「ジジィが弁当なんか選んでないで、トットとどけろや!」というような事を言われたらしいのです。板前さんは振り向きザマに頭突きをくらわし、その後グシャグシャに殴り、もう一人の若者はそれを見て何やら叫びながら店の外に走って逃げて行ったそうです。そして大至急警察が来て、板前さんは留置場行きであります。
数日間留置の上、略式起訴で罰金約20万の処分が下りました。書面を見せて頂いたところ、被害者は全治2週間と記載されておりました。板前さんも大人気が無かったと反省し、罰金を払い終えた後に、被害者に対し治療費と休業分の補償を自ら申し出たそうです。被害者の若者は治療が終わったら連絡すると言って、それ以降連絡は途絶えたままでした。
ところが、最近になって突然その被害者から連絡がありました。事件からもう5ヶ月も経っております。板前さんはあまりにも連絡が来ないので、もうお金は要らないのかなぁなんて考えていたそうです。そしてその若者が請求書めいた書面を持って来たのですが、額面を見てビックリ、なかなか法外な金額でありました。5か月分の治療費と休業補償として計算されておりました。
流石に板前さんも困惑し、まずは私に相談という運びに至った訳であります。大体にして全治2週間と判決文にも書かれているのに、5ヶ月分を請求してくるとは随分とナメた小僧であります。その小僧と直接会って話をしたいと思い、「次に会う時は私も同席します。」と言いました。
小僧を呼び出す際には「男同士1対1でゆっくり話し合いましょう。」と言って呼び出して欲しい、とお願いいたしました。1対1では私が同席できないだろう・・・、と板前さんが不思議そうな顔をしておりました。黙って私の言う通りにやって下さいと、お願いいたしました。
待ち合わせにはファミレスを選びました。怒鳴ったり騒いだりするつもりは毛頭ありません。私は板前さんとは別の離れた席で、お茶を飲んでおりました。例の小僧が時間に少し遅れてやってまいりました、同じ年頃の若者と二人連れで。私にとっては予想通りの結果であります。2人が着席するのを確認して、私も板前さんの隣にドカッと座りました。
「あなたは何なんですか?」焦りながら訊いてまいります。
「そっちも部外者が混ざってんだから、同じ条件だろ。」
1対1の話し合いの場に同席すると言った理由は、先方が必ず誰かを連れて来ると思っていたからであります。とりあえず先方も納得の上で、予定通り話し合いに同席する事ができました。
まずは請求額の内訳に関わる書類を出すように言いました。病院の診断書、領収書、休業証明の事であります。しかし、その類の書類は用意していないと答えてきます。じゃあ何を根拠に、この金額を請求するのかを問いただしました。先方は口ごもり答える事ができません。
「何だよ、タカリかコラ。」静かに言うと、二人とも半ベソをかいて下を向いております。タカリの真似事をする程、悪そうにも見えない若者だったので違和感を感じておりました。
「誰かに入れ知恵されたんだろ、そいつら大至急呼べよ。」
試しに言ってみたのですが、これがビンゴ!彼のバイト先の上司とやらが来る事になりました。15分ほど板前さんと談笑しながら待っていると、来ました、来ました、ロン毛に派手なサングラスをしスーツを着込んだチンピラホスト風の兄ちゃん二人組(笑)。
現れるなり自己紹介もなく、私の前でしょぼくれる二人を指差しながら「こいつ、うちの従業員なんだけど何かあんの?」と・・・。
ああ・・・、なんて口のきき方を知らない子なんでしょう、この時点で私はすっかり楽しくなってしまいました(笑)。
とりあえず、まぁ座んなさいよと座らせて、先に説明した通り診断書、領収書、休業証明等の根拠も無い請求に答える事はできないと言う旨を伝えました。
するとこのチンピラホスト、「黙って払やぁいいんだコラ!こっちも出すもん出すぞコラ、オッサン!」いきなり居直られてしまいました。
面と向かってこんな事を言われたのは何年振りでしょう。
板前さんは呆然としておりました。
私も唖然としておりました。
数秒間ボーっとして、ふと我に返りジャニさん調で「ああ、出せば。すぐ電話しちゃいなよ(笑)」と。
「上等だコラ!」なんて言いながら大至急電話を掛けはじめるチンピラホスト。なにやら、ご苦労さんです!だの何だのと会話をしているので、電話を代わるよう促しました。
「神谷と申しますが、どちらさんですか?ああ、○○会のNさん。この前誘ってもらったのに行けなくてゴメンね。次はこっちから誘うよ!揉め事?別に揉めるような事じゃないんだけどサ、この元気の良いお兄ちゃんがおさまらんみたいでさぁ(笑)。大丈夫、大丈夫、殴らないよこんな者。こっちは揉める気なんか無いから!ああ、そう言えばオッサンって言われちゃったよ(爆)。気にしてないから良いけどね。今ファミレスに居るからおいでよ、飯でも食おうよ!うん、待ってるよぉ♪」
電話の向こうは、とても仲の良い他団体の先輩だったのです。チンピラホスト君は真っ青で無言になってしまいました。ほどなく偶然近くにいたNさんが、申し訳ないねぇ的な照れ笑いを浮かべやってまいりました。まあ飯でも頼もうよと、私と板前さんとNさんで食事を注文いたしました。食べながらまた一から順に起きた事を説明したのであります。
するとNさんは板前さんに「ご迷惑をおかけしました。こいつらには私からキツく言っておきますので。」と頭を下げたのです。板前さんは驚いてしまって「手を出したのはこちらですから、2週間分のお詫びはさせていただきます。」・・・と。そこで私が被害者の若者に「休業補償要る?」と訊くと、「いいえ、結構です。すいませんでした。」との事。
「まあ、本人も要らねぇみたいだから良いんじゃないの(笑)。」
その後のNさんの説教が長かった・・・。自分から喧嘩を売るような真似をし、負けといて文句を言うとは何事か・・・。さらにチンピラの真似事でタカリをかけるとは何事か・・・。人の名前を出して解決しようだなんて根性が悪い・・・。とかなんとかで、結局私と板前さんはファミレスに4時間もいるハメになりました(汗)。
最後にウェイトレスさんを呼んで、メニューに有る物を全部持って来るように言いました。4時間もいて売り上げが少なかったら申し訳ありません。
「お兄ちゃん達、全部食って、全部払えよ!残すなよ!」
一同、「はい。」
「良い返事できるんじゃないの。そんじゃな~♪」
私と板前さんとNさんは店を後にしました。
Nさんと別れ、板前さんと二人で呑みに行きました。その席で、「これ、少ないですけど。」と言って封筒を出されました。目の前で中身を数えると10万円、そのままお返しいたしました。
「目の前で中身数えてから返すのも何なんだけど、沢山入ってたんで充分気持ちは伝わりましたから。」
「いやぁ、それでは困りますよ。」
「じゃあ今度、店でアンコウ鍋ご馳走して下さい。でっかい奴♪」
「わかりました(笑)」
良い付き合いをしたい人から謝礼を受け取る事はできません。
今回の報酬は、高級料理屋のアンコウ鍋、しかもでっかい奴!
上出来であります(笑)。
本当は好きな人を連れて食べに行きたいところですが、現状それも叶いません。仕方がないので、例の妹分を連れて行ってこようと思います。
あいつは、いつも得をしております。(-_-メ)