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雲のように…月のように…

雲のように飄々と…月のように夜道を照らし…

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独立

居酒屋の開店祝いに行ってまいりました。
その居酒屋をオープンしたのは、私よりも十ほど下で数年前から可愛がってきたボウズであります。技量的にも精神的にも少し早い独立ではございますが、若くして独立する彼を誇らしくさえ思えます。

もう6年ほど前になりますか、私が当時毎晩飯を食っていた居酒屋に「年下の彼氏ができましたぁ♪」と言って、若いホステスが連れてきたのが彼だったのであります。昔から、悪い男に引っ掛かって相談に来るホステスには「次に新しい男ができたら、先ず俺に見せに来い。良い男か悪い男か、こっそり教えてやるから!」と言っていたのです。今でも彼氏を見せに来る娘がたくさんおります・・・(汗)。

「いつもお世話になってるお兄ちゃんみたいな人なの♪」
男どもには、こう言っておくように伝えてあります。たとえそんな前情報が伝えられたとしていても、いきなりヤクザ者の前に連れて行かれるんですから、彼氏連中にすれば堪ったもんじゃありません(笑)。

ホステスというのは、世間様の偏見も未だ強く、どうしても軽視されてしまう職業です。群がってくる男達も有象無象、如何せんタチの悪い男が多いのであります。騙されて泣く目に遭うのは、繁華街では日常茶飯事なのであります・・・。

突然連れてこられた可哀相な男達も、色々な反応を示します。ビビッて下ばかり見ている者、こちらに質問ばかりしてくる者、10年も前から知り合いのような顔をしてペラペラと馴れ馴れしい大馬鹿者、様々でございます。その反応も含めて小1時間も話をすれば、大体その男の持っている本質というのが見えてくるものであります。

今回、居酒屋をオープンしたボウズが、初めて彼女に連れられてやって来た時の事を未だに覚えております。二十歳そこそこの小僧でしたが、ビビリながらもちゃんと目を見て「はじめまして、○○と申します。」と丁寧に挨拶のできる男でした。なかなか好印象であります。

仕事は私らもしょっちゅう行く店の料理人、将来は独立して自分の店を持ちたいと言っておりました。口だけの小僧は掃いて捨てる程おりますが、この子の目にはしっかりとしたものが窺えました。今時の若い者にしては珍しい・・・、そう思ったのであります。

ビールを呑みながら30分ほど雑談をして、彼がトイレに立ちました。その間に「よしっ!結婚しちまえっ!これは逃がしちゃいかんぞ!」と彼女に言いました(笑)。いきなり、それはありませんよね・・・。彼女も爆笑しておりました。彼氏が戻った時に「仲良く、大切にしてやってくれな。この娘泣かしたらタダじゃおかんぞ(笑)」と言っておきました。

その2ヶ月後に妊娠、無事に赤ちゃんが生まれてから即結婚式、という運びになりました。私も正直ビックリであります(笑)。もちろん、私が言った一言でこうなった訳ではないと思います。良い縁があった、そういう事なのでしょう。

料理人というものは、ちょいちょい店を転々とするものでございます。勤めている店をヤメようとする度に私のトコに相談に来ましてね、私もその都度新しい就職先を世話しておりました。自分で店をやりたいと相談してきたのは、私が拘置所から戻ってすぐの事であります。

商売の事にしろ、恋愛の事にしろ、その人にとって重大な決め事だと判断した場合、私は素直に背中を押すといった事はいたしません。何本かの道を示して、その上で本人の提案に強く反対する事にしております。なぜかというと、他人の反対を押し切ってまで自分の意志を貫こう、これが自分の道なんだ、という自覚を強く持って事に臨んで欲しいからなのです。

周りが簡単に賛成してしまうと、少しでもウマくいかない時に、ついつい他人の所為にしてしまうのです。あの時、賛成してくれたのに全然店に来てくれない。みんなの口車に乗ってしまった。誰も助けてくれない、やはり所詮は他人なんだ。なんて事を言い出すのが、世の常であります。人間はこういった弱い部分を、誰もが持っているものなんです。

周囲の反対を押し切ってまで自分で店をやったんだ、だから自分だけで頑張って行くしかないんだ、ガツンと成功してあの時に反対した奴らを見返してやる。その位の心意気を持って欲しいのであります。そして、その位の心意気が無ければ、商売なんてできないのであります。

彼は私の反対を押し切って、国から銭を借りて居酒屋をオープンいたしました。子供の名付け親である私に逆らってまで・・・。なかなかどうして、気概のある良い男であります。商売の先行きは、まだまだわかりませんが、とりあえず第一関門はクリアーです。店を持ってしまった以上、私も助力は惜しみません(笑)。繁盛を祈っております。

今回の経緯については、裏で嫁と私が何度も連絡を取り合い、色々と想定した中での本命のパターンで納まった事なのです。私らが、こうなる事を予想していたのを知らないのは彼だけなのです(笑)。何も知らない彼は、熱く仕事に燃えている事でしょう(笑)。頑張れよ、父さんっ!


しかしまぁ、立派になったものです。
前途明るい若い者を見ると、こう胸が空く思いがいたします。


ジジイみたいですね・・・(-_-;)

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