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雲のように…月のように…

雲のように飄々と…月のように夜道を照らし…

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拘置所②

拘置所は、裁判による判決を待つ人間が入る施設であります。
留置場は警察の管轄ですが、拘置所は刑務所の管轄なのです。
ここでの規則は、監獄法という法律で定められております。

拘置所では、基本的には労役の義務がございません。裁判の結果如何では、無罪放免になる人間や、執行猶予付きの人間も収監されていますので、むやみに働かせる訳にはいきません。労働作業が無いぶん、強烈に暇であります。何かしらの作業があった方が、時間が経つのも早く、気が紛れるというものです。


独居房の広さは、3畳+1畳(洗面台と便所)。居住部分の3畳に、小さな文机、衣装箱、布団が1組。洗面台の方に、バケツ2個、雑巾2枚、ホウキとチリトリが備えられております。洗面台の横に小さな整理棚が据え付けてあり、そこに箸や湯呑、石鹸、歯磨き粉、ポット、ちり紙、調味料、間食類、等々を置かなければなりません。

差し入れやら、物品購入やらで、物が増えるとすぐに置ききれなくなってしまいます。着替えや、菓子、本、文房具などは、全て衣装箱の中にしまいます。昔はこんな立派な衣装箱(立派と言っても押し入れ用の引出式プラケース)などは無く、銭湯の脱衣カゴみたいなのが1人に1つずつ与えられただけでした。

昔は下着や服なども数に制限があったのですが、最近は衣装箱に収りさえすれば数に制限は無いようです。監獄法が改正になって、少しだけ融通が利くようになったのでしょう。


拘置所では、物品購入が可能で、色々な生活用品や食料品を注文する事ができます。結構品数が豊富で、文房具だけでも約50品目が用意されております。ちなみに、Tシャツやらパンツやらの衣装類も約50品目。

その中で、一番高かったのは《メリヤス(茶)A、LL、¥4850》、2位が《メリヤス(茶)A、L、¥4060》、上位はメリヤスが占めておりました。このメリヤスという物、若い方は聞きなれないと思いますが、ちょっと厚手の肌着の事でございます。これは刑務所の懲役さんが冬場に着るための物です。拘置所で買う奴は、ほとんどおりません。

他に高額商品といえば《電気カミソリ、ナショナル(電池別売り)¥3900》、《そろばん¥3000》、こんなトコでしょうか。最も安かったのは《鉛筆キャップ¥10》でした。《万年筆スペアインク¥35》《鉛筆¥45》《鉛筆削り¥45》《つまようじ¥60》他にも様々な物があるのですが、どれもそこそこ良心的な値段がつけられておりました。

食料品においては、何と100品目の中から注文できるのです。こちらの高額商品は何気に微妙であります。何種類か果物があるのですが、こいつらの値段は《時価》・・・(汗)。まぁ、ここら辺は無視いたしまして、堂々の1位は? な、何と《仁丹¥355》・・・。今まで《仁丹》は薬屋で買う物だと思ってました・・・。っていうか、まだ売っていたんですね(笑)。

《仁丹》に続くのが、《一口ようかん¥280》《カスタードケーキ¥280》。菓子だけでも約30種類、カップ麺や菓子パン、缶詰類、調味料、酒のツマミ的な物まで買う事ができるのです。味付け海苔やフリカケ、梅干、キムチ等は、麦シャリを食うためには心強い味方であります(笑)。

晩飯が夕方の4時過ぎで、朝飯が朝8時位ですから、ついつい小腹がすいてしまうのです。嫌がらせのようなスケジュールであります・・・。
(※麦シャリ・・・麦めしの事。米7:麦3の割合です。)

こうして檻の中でも、ある程度の買い物ができるのであります。昔よりも品数が増えた事にも驚きましたが、もっと驚いた事が有ります。買い物の注文には『願箋(がんせん)』と呼ばれる書類を使うのですが、勝ち馬投票券のようなマークシート式になっておりました。進化しているなぁ・・・、そんな気がいたしました。

《仁丹》には後ほど随分と助けられる事になるのですが、そのお話はまた今度に・・・。


全く話は違うのですが、房内の壁にはカレンダーが貼られております。そのカレンダーには『矯正協会(きょうせいきょうかい)』と印刷されています。住所も電話番号も印刷されておらず、ただ矯正協会とだけ・・・。恐らくインチキな何チャラ法人とか、何チャラ財団なんでしょう。天下りの匂いがプンプンといたします・・・。

きっと、こんなショボいカレンダーを関連施設に高額で納入して稼いでるんでしょうねぇ・・・

汚ぇなぁ・・・ (-_-メ)

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