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雲のように飄々と…月のように夜道を照らし…
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先週、今年初の墓参りに行ってきました。
我が家の墓には、祖父と父が眠っております。
墓参りと言うと少し大袈裟に聞こえますが、市内から30分程度の近場であります。冬は霊園自体が雪に覆われてしまう為サボっておりますが、毎年4月からは月に一度は酒を供えに行っております。雪が融けだすこのシーズン、丁度良い事に4月11日は亡き父の誕生日なのです。
珍しく天気の良いうららかな昼下がりでした。冬前にしまっておいた墓参りセットを引っ張り出し、颯爽とドライブ気分で家を出ました。ちょっと不謹慎ですね(汗)。5ヶ月ぶりに来た霊園、またデカくなっておりました・・・。しかも、入り口の所にまた大きな本堂らしき建物が建っております。超ゴージャス・・・。
年々と言うか、毎月のように立派になっていきます。あんまりこの手の話はしたくないのですが、どうなんでしょう墓場ビジネス・・・。確かに墓場は必要ですし、環境が良いにこした事はありません。吹きっさらしのゴミだらけの墓場だと、先人達に申し訳ない気持ちになってしまいます。しかし、行く度にきらびやかになっていくのも考えものです。
しょっちゅう行っている私がこんな印象を受けるのですから、何年かぶりに行った人はとても驚く事でしょう。敷地もどんどんと広がって、自分の家の墓もわかり辛くなっております。近い内にきっと地図が必要になります。間違って違う墓場に来たんじゃないか・・・と思う方もいるはずです(汗)。
この霊園、市内から近いためにちょっとお高いのであります。だからと言って、派手でゴージャスにするのは、正直いかがなもんかなぁと思うのです。先人達が静かに眠る場所、閑静で厳かな場所である筈なのです。真っ赤でド派手なお堂を建てて・・・、竜宮城じゃねぇんだから・・・(汗)。
人は、必ず死ぬものであります。亡くなった者を埋葬し、墓を大切にする気持ちは、日本人の良いところだと思っております。世界には墓など無い国もたくさんあるのです。墓を大切に思うが故にきらびやかになっていく、そんな敬意の表れならば文句は無いのです。残念な事に、あの霊園からは銭の匂いしか感じられないのです。
避けては通れない人の死を、ただの商売としか見ていない気がしてしまうのです。これは昨今のクソ坊主共や葬儀屋連中にも感じる事です。人様の死で銭儲けをしようだなんてあり得ません。情けない事です。
実は、こんな事を思うのも最近の話では無いのです。
4年ほど前の出来事です。
祖父と父の墓には、2箇所小さな植木用のスペースがございます。そこに何か植えてやろうと思い、昔から仲の良い造園屋に相談いたしました。造園屋の棟梁の勧めで『エゾツツジ』という小さな木を植えることになりました。花を付け、葉も赤くなる可愛い植物です。
当時、仕事が忙しく現場に立ち会えなかった私は、細かく墓の所在を地図に書き、棟梁に植え込みをお任せしたのです。約束の日に、現場に着いた棟梁から電話が入りました。霊園の管理者が、植え込み作業にストップをかけたと言うのです。管理者に電話を代わってもらい事情を聞くと、霊園が契約している指定業者以外は木を植えてはいけないとの事でした。
私は、激怒しました。
私の愛する祖父と父の墓であります。この人に植えて欲しいなぁ、と思い棟梁にお願いしたのであります。棟梁も私の事を思い、考えて植木を選んでくれました。
指定業者だぁ?
大至急、霊園に向かいました。あまりにも頭に来過ぎて、どんな運転をしたか覚えていません。30分かかる距離なのに、10分もかかりませんでした。まず管理者を怒鳴りつけ、霊園の社長に電話を繋ぐように命令しました。規則がどうの、それはできないだのと御託を並べるので、私にしては珍しく思い切り名乗ってやりました。
「社長連れて来ねぇなら徹底的に構えるぞコラ!」
堅気を相手にあそこまで本気で怒った事はそうありません。管理者は大至急社長に連絡を取り、社長も大慌てで現地にやってきました。その霊園では、墓石も指定業者、造園も指定業者、何から何まで指定業者で固まっていたのです。こうなると一つの利権であります。
社長は来るなりひたすら謝っておりました。クソ野郎です。私の言い分は全て通り、無事棟梁に木を植えていただきました。後ほど改めてお詫びに伺うと言う社長の申し出を断って、霊園を後にしました。些細な事と言われるかもしれませんが、私にとっては大切な事なのです。
もし、自分で木を植えようとしていたらどうでしょう。
「こらこら、勝手に木を植えちゃいかんよ。どうしても植えたかったら金を払って、ウチの業者を使いなさい。それなら植えさせてやっても良いよ。」と言われているのと一緒なのです。自分の愛する家族の墓に、しかも購入した土地にです。イカれてるにも程があるってもんです。
墓や葬式、人の死で銭儲けをしようだなんて、絶対に間違っています。そんな分別もつかない人間が増えている事を、とても悲しく思います。ゴージャスに変化していく霊園を見て、そんな事を考えてしまいました。
墓を売っている人間が、一番墓に対して敬意が足りない・・・そう思います。
墓を洗って、花をそなえ、父の分と祖父の分、ビールを2本墓のまわりに撒きました。手を合わせて「ちんどん屋みたいな墓場になってきたけどゴメンなぁ・・・」と、心の中で謝ってまいりました。