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雲のように…月のように…

雲のように飄々と…月のように夜道を照らし…

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激動期・続き

前回からの続きであります・・・。

フラフラと仕事もしていない訳ですから、どんどん手持ちの金が減っていきます。そんな折、ウェイター時代から顔見知りでそこそこ仲良くしていたヤクザのKさん(29歳)から良い話が舞い込みました。
「一緒に店をやらんか?」
投資は2:8で先方が8、上がりも2:8で先方が2。
「本当にそんな条件で良いならやりますわ♪」ほぼ即答でした。
私の他に男の従業員を2人雇い、仕事帰りのホステスのアフター先のような店を計画しておりました。

打ち合わせやら、顔合わせやらでちょいちょい集まっては皆で呑んでおりました。そこに「俺の兄弟分紹介するわ~!」と言ってKさんが連れて来たのが、なんと喧嘩を収めてくれたアノ怖い人だったのです。
「あの時は、すんませんでした・・・(照)」
「おぉ~!あのとんでもないガキかぁ(笑)!」
意外な再会でしたが、その時は気マズさが先行してあまり嬉しいとは思えませんでした(笑)。

かくしてこの怖い人は、店がオープンしてからも毎日のように通ってくれるようになったのですが、どうも私とはぎこちない関係が続きました。後に本人から聞いたのですが、人生を悟りきったようなイケ好かないガキだと思っていたそうです。その内、ブン殴ってやろうとも思っていたらしいです。ふ~~、危ない危ない・・・(汗)。

無事にオープンしたこの頃から、景気に陰りが見え始めました。ホステスや黒服連中からも給料不払いの相談をよくされるようになりました。Kさんの存在を知る客からは、回収の依頼も受けるようになったのです。『切り取り』は通常『取り半』であります。そんな率の良い仕事を私本人がやらない訳がございません。だって、給料を払わせるだけでその半分を貰えるのですから。Kさんには報告せず、勝手に取り立てを始めるようになりました。

無鉄砲な私には債権回収が向いていたらしく、何件も順調に上手く回収できたのです。私の歩く道には銭が付いてまわるんだなぁ、なんて馬鹿な事を思っておりました。それもつかの間、とあるクラブに取り立てに行った時、ケツ持ちが裏に待機していてまたもやグルッと囲まれてしまいました。
こんな話ばっかりですね・・・(汗)。

何か危険な事があったら自分の名前を出すように、と普段からKさんに言われておりました。しかし、実は私・・・ヤクザが大っ嫌いでした(笑)。Kさん個人は好きだったのですが、ヤクザ自体にはかなりの拒否反応を顕にしておりました。ですから、例え痛い目に遭ってもKさんの名前を出すつもりは毛頭無かったのであります。

偉そうなデブのオッサンが私の前にドカッと座りました。
「どこの若い衆よ?」
「ああ?堅気だコノヤロー!給料払えや!」(-。-)y-~~~~
周りの若い者達は既に皆殺気立っております。
「何だその態度は?殺すぞこのガキ!」
「いいからとっとと払えや!」(-。-)y-~~~~
・・・グッチャグチャのボッコボコにされました(汗)。

顔なんて見れたものでは無かったのですが、店を休むのが悔しかったのでその面で出勤してやりました。いつも通り遅い時間に例の怖い人がやって来て、ニタニタしながら訊いてきました。
「なしたのよ?その面(笑)♪」
「実はこんな事がありまして・・・(照)」
ざぁっと事情を掻い摘んで説明いたしました。
死ぬほど爆笑されました・・・(汗)。

「馬鹿だなぁお前、とっとと帰ってくりゃいいのに♪なんですぐに退かなかったのよ?」
「はぁ、取ってくるって約束したんで・・・」
「はははっ!大した馬鹿だ!(爆)」
馬鹿だと言って人の顔を見ては爆笑し、何分かおきにそれを繰り返しておりました。本当に嫌なオッサンです(怒)。あまりにもしつこく笑われるので、何だか私も可笑しくなってきました。笑いながらも酒を呑んでいますので、顔の腫れは一層酷くなりました・・・(T_T)。

朝方になり従業員を帰し、この人と二人きりになった時です。
「お前、俺と兄弟にならんか?」
(えっ?はぁ~?)・・・ビックリであります。( ̄□ ̄;)!
私は正直この人に憧れていましたが、てっきり嫌われているものだとばかり思っていました。しかし、「このクソガキがっ!」と言いつつも毎日のように顔を出してくれていたのも事実です。実は結構気にしていてくれたようなのです。
とても嬉しかったのを覚えております。

「お願いしますっ!」・・・ほぼ即答でした。
誰もいない店のカウンターで、中身が何だかも覚えていないような安焼酎で乾杯いたしました。私達の兄弟盃です。ひとまわり歳が違い、本来であれば親と子の盃でもおかしくはないのに破格の舎弟で迎えてくれました。
そう、この怖くて格好良いオッサンが私の唯一人の兄貴分でございます。未だに気合いの入った恐ろしい男であります(汗)。

決してヤクザに憧れていた訳ではございません。
むしろ嫌いでしたから・・・。
ただ、この人との出会いだけでこの世界に入る事になりました。


今でも、このオッサンが大好きであります(笑)。


バブルが崩壊し始め、日本中で小さな抗争が頻繁に起こっておりました。私達の街もその例外では無く、発砲事件が頻発しておりました。


時代が急激に動いていた、そんな時期の思い出話であります。

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