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雲のように…月のように…

雲のように飄々と…月のように夜道を照らし…

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Slow Dance

昨年秋の終わりに、大好きなアノ人と逢った時のお話です。


「全然、連絡無いけど生きてるの?」というメールが来たんです・・・(汗)。
言い辛くて、夏にパクられてた事を報告してなかったんです・・・。それどころか、帰ってきてから一度もメールしてなかったんです・・・。

誰かから聞いたのかもしれないなぁ・・・と思いつつ、そこそこ元気でやってます・・・と言った内容で返信いたしました。すると意外なことに「週末にみんなで集まって呑まない?」という返事が…。この場合の『みんな』は、店の常連さんとか従業員とかを意味しております。

店を閉めた頃は、もう誰とも連絡を取りたくない・・・と言っていた彼女が・・・。きっと昼間の暮らしにも慣れ、やっと精神的にも落ち着いたのでしょう。一昨年の夏祭りの時よりも、彼女の回復を感じました。この事だけでも目頭が熱くなる思いであります。

常連の中でも幹事が得意な奴に連絡をして、大至急週末に飲み会をセッティングしました。彼女の店は、常連同士が仲良くなってしまう不思議な店でした。彼女の人柄のお陰です。閉店した店の常連が集まるなんて事は、そうそうあるものではございません。


急な召集だったために人数こそ少なかったものの、仲の良かったメンバーが集まりました。私は所用があり30分ほど遅刻したのですが、幹事以外の全員(主役の彼女も含めて)が遅刻だったそうです・・・。
大人の集まりなのに・・・。
何なんだ・・・(-_-;)。

周りのメンバーに挨拶もしない内に、彼女を見て「元気だったか?また綺麗になったね。」って言ったんです・・・、私。
遅刻した分際で・・・。
野郎共・・・、一斉に大ブーイングでございます(笑)。好きな人はひたすら褒める、私の一貫したスタイルであります。外野の声なんぞ聞こえません(笑)。

どうやら彼女、私が来るまで皆から「老けた!老けた!」と責められていたようなのです。好きな人ってぇのは、初めて会ったその時から会う度ごとに綺麗になっていくものなんです。これは、いつまでも続くものなんです。歳をとればとるほど綺麗になるんです。

自分の嫁や彼女が歳をとっただの、ババアになっただのと言う連中はただの馬鹿なんです。愛も知恵も足りない野郎共であります。本当に好きな人というのは、例え一緒に暮らしていたとしても、毎日々々一眠りして起きて顔を合わせる度に綺麗になっていくのを感じるものなんです。小ジワもクスミも関係無し、全てが美しく愛おしい存在なんです。

先方が会う度に綺麗になるわけですから、男は昨日よりも更に深い愛情をもって接するべきであります。そういうもんだと本気で思っております。たまに、自分にはイタリア人の血が混ざっていないか不安になります・・・(-_-;)

嘘つき・・・だの、外道・・・だの、極悪人・・・だの、秘密ばらすぞ・・・だのと、そしられながら席に着きました。秘密ばらすぞって・・・、何の事だかは知りませんが大人なんだからそういうのはヤってません・・・(汗)
遠い・・・・・・(T_T)
遅刻したせいで、彼女の席から遠かったんです・・・○| ̄|_

皆、久しぶりの再会で昔話に花が咲き、和気藹々と盛り上がっておりました。ほとんどが私よりも年上なのですが、こういう集まりも良いものであります。
会話の節々に「いいなぁ、隣・・・(-_-メ)」と囁き続けていたら、2次会も3次会も彼女が隣に座ってくれました(笑)。囁き作戦、成功であります。


3次会は、生バンドの演奏とダンスフロアーがある小洒落た感じの店でした。モータウン系の音楽が中心で、昔のディスコを懐かしむ世代のために作られた店って感じがいたしました。ちょっと間違やひと昔前のナイトクラブといったトコですが、上品な内装が良い雰囲気を出しておりました。

生バンドの時間にはダンスフロアーに人が溢れます。実に懐かしい雰囲気です。ウチのチームからも何人か踊りに出まして、彼女も引っ張られて行ったんです。曲に合わせて踊る彼女を見て、へぇーこういうトコで踊っちゃったりするんだぁ・・・と、私の知らない彼女の一面を見て驚いておりました。ライブやらコンサートやらが好きな事は知っていたんですけどね。妙に感心してしまいました。

私も十代の頃はディスコで踊ったりしていたのですが、それ以降はディスコやクラブなどには行ったとしても踊るような事はありませんでした。なにぶん人前でハシャグような職業ではございませんでしたので・・・、踊りとかはちょっと・・・(照)。彼女も「一緒に行こ♪」と一応声をかけてきたのですが、「ごめん、無理・・・(汗)」と言うと、ニコッと笑ってそれ以上は無理強いしませんでした。
「だよねぇ~(笑)」って顔をしてました・・・(;^_^A

しばらくするとバンドがスローな曲を演奏し始めました。
少し照明も暗くなり・・・
どうやら、チークタイムなようです・・・
さすが大人を対象にした店・・・、今時チークって・・・
と思っていたら、ウチのチームの連中が無理矢理に私をダンスフロアーに引っ張って行こうとするんです。

「バカヤロー、こっ恥ずかしいからヤダよ!ヤメろよ、んのやろー!」とかって抵抗しておりました。助けを求めるようにフロアーの方を見ると、彼女が満面の笑みで『来い来い♪』というジェスチャーをしてやがります・・・。
くっ・・・
助けるどころか、君もグルですか・・・_| ̄|○

連中からすればプレゼントのようなつもりなんでしょうが、私こういうのが大の苦手であります・・・(汗)。
こういうトコだけ、やけに日本男児です・・・。
彼女が『来い』と言っている以上、抵抗する理由も失い、観念してフロアーに連行されました。当の彼女は、立てないクララを迎えるハイジのように両手を広げて私を待っています・・・。
あのイタズラっ子のような、彼女のズル~い笑顔が忘れられません・・・

チークなんて初めてです・・・
今まで人様がやってるのは散々見てきましたが、強烈に冷ややかな目で見ておりました。
まさか、自分がヤラされるとは・・・(汗)
「ど、どこに手を持ってけば良いの?」・・・(ーー;)
最初から、こんな感じです・・・

なんとか彼女の指示通りに手を回しまして・・・
「なんとなくユラユラしてなさい!」と言われ、ユラユラと・・・
「すごく緊張するんですけど・・・」(ーー;)
「アハハ、そんな顔ひさびさに見たぁ♪」とかって、喜んでる始末であります。
この時私、どんな曲が流れてたんだか一切覚えておりません・・・(汗)

ちゃんこいなぁ・・・ (小さいなぁ)
私の身長も170センチと大した背丈ではございませんが、彼女は155センチ。小さくて明るくて可愛い人なんです。
彼女が店を閉めた時、本当にもう逢えないと覚悟していました。自分の腕の中に彼女がいる事自体が、私にとっては奇跡的な出来事でした。

彼女が強く抱きついてきて、私の胸にギューっと顔をうずめてきました。まわりに人がいっぱいいるのに・・・、久しぶりの酒で酔っていたのでしょう。彼女の声が聞こえるように少し頭を下げると
「今日は本当にありがとう・・・」と。
「ん?何が?」と惚けて聞くと・・・
「また、こうやってみんなで集まって呑めると思わなかったから・・・」
「ん、そうか。そうだよなぁ・・・」

皆が集まってくれたのは、ひとえに彼女の人柄によるものであります。彼女の築いた店が、皆にとって居心地の良い場所であった証拠であります。
「店を閉める時ね、色んな噂をたてられたじゃない。あの頃、皆が陰で私の事を悪く言ってるような気がして、怖くて人の顔が見れなかったの・・・。今日も、本当は皆に会うのが少しだけ怖かったの。でも皆優しくしてくれて、誰も噂の事なんて話題にしないで・・・。何だかわかんないけど嬉しくて・・・。」

妊娠しただの、結婚するだの、金持ちの妾になったから店を閉めるだの、確かに非道い噂が流れておりました。私の耳にも色々と聞こえてきたのを覚えております。その噂がどんなに彼女を傷つけたか・・・、思い出しただけでも腹が立ちます。やはり、悲しい出来事というものには時間が一番の薬なのかもしれません。
「そっか、良かったね。皆にもちゃんと『ありがとう』って伝えなさいよ。」
「うん♪」

他にも彼女は色々と話してくれました。これまでの経緯を思うと、私も涙が溢れそうになりました。それに加えて緊張と照れで、彼女の話に「うん、うん」と相槌を打つのが精一杯でした。

「ちゃんと聞いてくれてる?」
「うん・・・」
「ホント?今、違う事考えてたしょ?」
「うん・・・、いやいや何も考えて無ぇよ・・・」
「ウソだぁ、ワカるんだよ!」 ・・・ワカるんだそうです(-_-メ)
「うぅ・・・。いやぁ、昔もこんな事あったなぁって思い出してた・・・」

もう、5年位前の事でしょうか・・・
それは、年末のとある日曜日。街で商売をしている連中が集まって、クリスマス兼忘年会を毎年やっていたんです。全部、私が仲良くしている連中です。そこに、初めて彼女を連れて行った帰りの話です。

忘年会の店から歩いて5分位の所が彼女のマンションだったので、歩いて送ることになりました。真冬の凍える空気の中、手をつないで歩いておりました。道々「あんまり知らない人達の中に入ると疲れちゃうね。なんかアウェーって感じだった(笑)」なんて話をしながら帰ったんです。

年末だし、夜中だし、静かだし、人影なんてまるで無いし、二人共ちょっと酔ってたし・・・
マンションの下についた時、キスをしたくてつい抱き寄せてしまったんです。ちょうど、チークダンスのような体勢です。彼女も強く抱きついてきて、私の顔をじっと見つめていました。当然、キスしようとしたワケですが・・・
「やっぱりダメ・・・」私の胸にギュっと顔をうずめました。
「うん・・・」
「もう少しこのままでいて・・・」
「うん・・・」

抱き合ったまま、どのくらいの間そうしていたのでしょう・・・
気がつけば、雪が降り出し、吹雪になっていました・・・
店をやっている間は誰とも付き合わない、それに関して私も文句を言わない、それが二人の約束事でしたから・・・

吹雪の中、互いに離れられなかったあの夜の事を思い出しておりました。
「こんな事って、あの吹雪の時?」
「うん・・・」
「懐かしいね・・・。寒かったね♪(笑)」
「うん・・・」

随分と長くフロアーにいたような気がします。
何分ほどの時間だったのか、何の曲が流れていたのか、全く記憶に有りません・・・。せめて曲ぐらい覚えていれば、きっと想い出の曲になった事でしょうに。まぁ、いっぱいいっぱいだったので仕方がありません・・・(汗)。



何の曲だったかさっぱりワカらないので、私の頭の中では勝手に田村直美の『キセキ』というスローバラードが流れております♪


 

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