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雲のように…月のように…

雲のように飄々と…月のように夜道を照らし…

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ラーメン

前回記事を更新した次の日だったと思います。
夜中の2時半に無性にラーメンを食べたくなりました。
街にもラーメン屋はたくさんあるのですが、なんとなく気分転換に郊外のラーメン屋に行く事にしました。夏場なら車で15分程度、しかし冬道では30分近くかかります。
誰もいない冬の道を走るのが結構好きであります。

実家の方向にポツンと一軒だけ朝方まで営業しているラーメン屋がございます。近所に呑み屋がある訳でもないのに朝方まで・・・、不思議な店です。昔、繁華街で水商売をしていたらしく、ラーメン屋の癖にやたらと客に話しかける変な大将であります。
顔馴染みになったのは4~5年前でしょうか。

予定通り3時頃に店に着きました。
客はいなくて、大将が一人で焼酎を呑んでおりました(汗)。
「いらっしゃいませ。ああ~、しばらく振りですね~!ネギ味噌チャーシューで良いですか?」
4ヶ月ぶりで行ったのに、何を食うかよく覚えているものであります・・・。まぁ、食うものは決っているのですが、一応オーダー位聞けよと思いながら漫画を読んでおりました。

「街は忙しいですか?」
「まあまあだよ・・・。」(-。-)y-~~~~
「人はたくさん出てますか?」
「まあまあだよ・・・。」(-。-)y-~~~~
「神谷さんも忙しいんですか?」
「まあまあだな・・・。って全部同じ質問じゃねぇか。うるせぇなぁ全く!」
「ははは♪スイマセン。」

うるさいので漫画を読むのをやめました(苦笑)。
「何よ、最近そんなに暇なのかい?」
「ひどいもんですよ。人間こんな風に死ぬのかなぁ、なんて思ってます。」
エッ? 質問の答えになってないし、意味わかんないし、何を言い出してんだこのオヤジは・・・(汗)。ちょっと話を先に進めたくない展開であります。

「な、何、自殺考えるほど暇なのかい?」
「店が暇だからって訳じゃないけど、自殺は考えますねぇ。」
ラーメン作りながらする話じゃないだろっ!軽いドライブ気分でわざわざ遠くまで来たのに、えらい店をチョイスしてしまいました・・・。
出てきたラーメンは、いつもと同じ美味しいラーメンだったので少し安心いたしました。

ラーメンを食いながら「うん、うん。」と話を聞いておりますと、昨年離婚をしたのだそうです。この大将、今年57歳になるのですが、近年話題の『熟年離婚』という奴でございます。とうとう身近なところで目にするようになってまいりました。一方的に大将からの話しか聞いておりませんので、どちらが悪いかなどは私にはわかりません。

大将の話では、奥様は変な宗教にハマってしまったようなのであります。その団体に入信して同じ墓に入ってくれないのなら離婚するといきなり言われたらしいのです。大将がその事で悩み回答を先延ばしにしていたら、奥様は早々に家を出て行き、その後離婚調停で正式に離婚したそうです。

私の知る限りこの大将は物腰の柔らかい、誰に対しても優しい男であります。仕事も真面目で、もうとっくに成人した2人の娘さんの話をいつも楽しそうにしておりました。きっと家族にも愛情を注いできたのだろうと想像しています。私の目からは『良き父親』としか思えないのであります。

大将はその宗教の所為だと言っておりました。しかし、そんなおかしな宗教に走ってしまった奥様の心境とはどんなものだったのでしょうか・・・。ここからは私の想像でしかありませんが、イカレ宗教なんぞにハマる人間はどうしようもない『寂しさ』や『虚しさ』に負けてしまった人間であります。家族のためにと仕事ばかりしていた大将は、奥様の変調に気付いてやれなかったのではないでしょうか。

以前『熟年離婚』の理由に関するアンケートで女性側の上位の方に《病気で寝込んでいる自分を放ったらかしで、主人は仕事をしていた。》という回答がありました。男性陣から言えば「俺が仕事をして稼いだ金で皆を養っているのだから仕方がないだろう。」きっとそう答える事でしょう。命に関わる病気じゃなければ別にいいだろ、そんな感覚ではないかと思います。世の男達のほとんどがそうだと思うのですが・・・。

男女共に何年も何十年も一緒に暮らしていれば、お互いに色々な不満を抱えているのが当然でしょう。そして、互いに想像もつかない部分に不満を抱えていたりするものであります。私自身、たったの9年半の同棲生活で「うそぉ?そんな事気にしてたのかよ?」という事がたくさんございます。年月というのは、思いやりを少しずつ擦り減らすものかもしれませんね。

大切な奥様をお持ちの方は、奥様が病気になった時は1日だけ休んで家にいて、家事やお世話をしてあげて下さい。1日位仕事を休んでもバチは当たりません。大事な嫁のために1日休んだ位でダメになるような仕事なら、そんなもん仕事でも何でもありません。転職をお勧めいたしします。

「私の57年、なんだったんでしょうねぇ・・・」
人生の疲れが言わせるのか、酒の酔いが言わせるのか重たい言葉であります。ラーメンをたいらげてから2時間も話を聞かされておりました。

「20歳も上の人生の先輩にこんな事を言うのも何なんだけどもサ。今手前ぇでくたばれば自分でも何だか解らねぇクソみたいな人生で終わるかもしれないし、この先もうちょっと頑張って良い事探せば死ぬ間際に、色々あったけれども俺は良い人生を送ったなぁって思える日が来るかもしれないし、全部大将の気の持ちようじゃないの?答えは全部大将の中にしか無ぇじゃん。俺が自殺するとしたら、もう思い残す事は無いって位に納得して死にたいね。まぁ、止めはしないけど飯食う店が一軒減るのは淋しいねぇ。不良が生意気言ってアレだけど、何かゴメンね!」

「そうですよね。私の中の問題ですよね・・・。神谷さんと話すと元気が出ます。たまにで良いんで通りかかったら寄って下さいね!」と言ってくれました。
「閉まってたら死んだと思うからなぁっ!」と言って帰ってきました。たかがラーメンを食うのに2時間弱、何なのでしょう・・・。時計は、朝の5時を回っておりました。


『熟年離婚』・・・若い内の離婚と違い、強烈に寂しいものであります。互いの人生を共にする、そう決める『伴侶』というものを改めて考えさせられました。いつまでも相手の事を第一に考えられる、そんな人と過ごしたいなぁ・・・と。


皆様、旦那様や奥様をいつまでも大切に!


急に独りで居る事が寂しくなってしまいました・・・。

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