[PR]
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
雲のように飄々と…月のように夜道を照らし…
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
先日から、ニュース番組もワイドショーも全部と言って良いほどに、松岡農水相の報道で持ちきりですね。
どの番組も、フリップをめくっては派手な効果音を鳴らし、勝手な推測をしながら放送をしております。人の死までもエンターテインメントにしなければ、気が済まないのでしょうか。
本当に行儀の悪い人達です。
今更ではございますが、松岡農水相という人に興味を持ってしまいました。生前の彼のイメージは、悪徳議員そのものであります。きっと大半の人々が、そんなイメージで見ていたのだと思います。見た目と雰囲気が、いかにもって感じでしたから仕方のない事ですが・・・。
世間一般に悪徳議員と呼ばれている人間を、私は然程嫌いではありません。悪い事をする人間が好きだという意味ではありませんよ・・・(汗)。金集めにスキャンダルを抱えている議員は、少なからず地元に対して貢献している人が多いからです。
田中角栄、浜コー、鈴木宗男・・・etc、挙げればキリがありません(笑)。彼らは皆、決してただ欲が深いだけの馬鹿ではないのです。世間で自分がどんなイメージで見られているか、当然きっちりと把握しております。
世間でどれほど悪いイメージが付いていても、選挙という多数決を勝ち上がってくるのは何故でしょう。選挙は単純に金をばら撒けば勝てる、というものでは無いのです。もちろん、多少はばら撒いていると思います。
一度でも選挙に携わった事がある人ならば解かるとは思いますが、政党支持者や後援会組織だけでは選挙には勝てないのです。確実に読める票なんて、合格ラインのせいぜい3~4割程度なのです。半分以上は不確定、自分の票を読めるのは公明党ぐらいのもんであります。
政党支持者でもなく、後援会関係者でもない、そんな人達がたくさん票を投じている訳です。結果として人気があるという事になります。要するに地元の人間は、悪いイメージで見てはいないという事なのです。
何故地元では人気があるのか?
選挙に強い議員の根底には、こよなく地元を愛する気持ちが在るものなのです。自分の育った土地を愛し、そこに暮らす人達を愛し、無条件で自分の地元を良くしようという気持ちが在るのです。きっと、たくさんの人達の面倒をみてきた事でしょう。
ただの悪党が私腹を肥やすためだけに銭集めをすれば、すぐに選挙で負けてしまいます。彼らも、銭欲しさだけに議員をやっている訳ではないのです。金を稼ぎたいのなら、何かしらの事業に没頭した方が100倍楽だというものです。
どんなに悪い事をしても、彼らほどたくさんの人達の面倒をみる事が出来るだろうか。私は、そんな風に考える事があります。就職の世話をしたり、業者の繋がりをつけてやったり、仕事を受注できるようにしてやったり、許認可を取り易くしてやったり・・・etc。
私には、無理であります・・・(汗)。
そして、すごい事だなぁと思うのです。
松岡農水相・・・典型的な悪代官みたいな面をしてますが、どんな人だったのでしょう。テレビのイメージのままであれば、悪口大会が巻き起こる筈ですが、どうやらそうではないようです。死人の名誉を汚さないための配慮だけでは無さそうです。
さきほど葬儀の中継を見ましたが、会場の外にも続々と花が届けられております。地元の人にインタビューをしても、悪口はあまり聞かれません。外から見たイメージと、地元でのイメージにはやはり大きな差があるようです。
自分の命と引き換えに、他の者への追求をやめて欲しいと死を選ぶあたりも、実に潔く感じてしまいます。辛い現実から逃げ出すために、命を絶ったのとは意味合いが違う気がいたします。石原慎太郎が「彼もまた侍だったんだなぁ・・・」と評した事にも頷けます。
何年か前の事になります。当時、刑務所から出てきたばかりの叔父貴分がおりました。昔からシャブを商いにし、本人もシャブ中でした。でも、物腰も柔らかく、面倒見もよく、トークも面白い人で、誰もが人間的に叔父貴を大好きでした。
出所後、一年もしない内に体調を崩し、病院でガンのため余命6ヶ月と診断されました。叔父貴は、可愛がっていた者皆に「何かヤバい事を抱えてるなら、俺に言えよ。全部、俺一人でカブって自首してやるから。モメてる相手がいたら言えよ。オヤジに破門にしてもらってから、全部俺が殺してきてやるから。どうせ残り半年も無いんだから、俺の命で良かったら、お前らのために使うから。」と笑顔で言っておりました。
誰一人として、叔父貴に頼み事はしませんでした。寂しい思いをさせてはいけないと、皆毎日のように叔父貴の所に顔を出しました。半年を待たずに2ヵ月後、病院で静かに息をひきとりました。
世間様から見れば、シャブの売買を繰り返し、刑務所に何度も入れられた極悪人かもしれません。だけど、私共にとっては優しい良い叔父貴だったのです。金に困っている若い衆がいれば、無理矢理マージャンに参加させてわざと負けてくれて、タバコを買いに行くから車を貸せと言って、コッソリとガソリンを満タンにしてくれて・・・。
松岡農水相の自殺で、その叔父貴の事を思い出しました。
確かに、やった事は悪い。
でも、どんな人だったんでしょう・・・。