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雲のように…月のように…

雲のように飄々と…月のように夜道を照らし…

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犯人

『ゆうばり応援映画祭』とかいうものが開催されております。
私も同じ北の地に住む者の一人として、本州の方々の善意に心温まる思いであります。しかしながら、大きな矛盾と不安も感じているのです。
はたして夕張は本当に『悲劇の地』なのでしょうか・・・。

夕張市の財政が破綻し少なからずの負担が住民にのしかかっている事は、報道を通じて全国の皆様もご存知の事でしょう。しかし、こんな状況に陥ったのにも必ず理由がある筈であります。そして、『犯人』もいる筈なのです。歴代の市長、議員、木っ端役人・・・、まぁこいつらは当然なのですが、住民達にもそれなりの責任があると思うのです。

夕張市は、1960年代には約12万人を要する立派な都市だったのであります。炭鉱はもちろんの事、産業機械工業や化成品製造などの大会社が軒を連ねておりました。市の税収も道内ではトップクラス、優秀な都市だったのです。石炭は『黒いダイヤ』と呼ばれ、夕張を中心に人々が集中し『ゴールドラッシュ』とも評されていたそうです。炭鉱に携わる人達の給料も高く、繁華街も栄え街全体が潤っていたようです。

私の祖父の弟、私は『叔父さん』と呼んでおりますが、この人は北炭夕張の労働組合から出馬し2期ほど市議を務めた人間なのです。この叔父さんの思い出話を聞いても、それはもう豪勢なものであります。未だにその思い出が忘れられないらしく、札幌で暮らす現在も壁には夕張市を一望した写真を飾っているのです。昔の役場ですから当然チェックも甘く、税金をジャブジャブ使い放題で楽しかったんでしょうね(怒)。

70年代後半からボチボチと閉山が相次ぎ、1990年に最後の炭鉱が閉山します。今に至ってその人口は、たったの1万2千人・・・。10分の1ですから、10人の内に一人しか残っていない計算になります。産業が無くなるという事は悲惨なものであります。

実際のところ夕張経済に陰りが見え始めたのは70年代後半・・・、今からもう40年も前の事なのです。欲にまみれた議員連中や木っ端役人どもは、一度覚えた贅沢をやめる気なんざ毛の先ほどもございません。産業が無くなろうが、税収が減ろうが、ジャブジャブと金をばら撒き続けたのです。挙句の果てに足りないと言って借金まで作ってしまったのであります。 その結果、400億の赤字を抱えた財政破綻でございます・・・。

これまでの話であれば『犯人』は『市の運営に携わった者』で、『市民』はただの被害者となった気がいたします。でも、本当にそれだけなのでしょうか。数々の箱物行政、客の来ないテーマパーク、それに絡む建築、そして従業員や職員の大量雇用・・・etc、少し考えただけでもキリがありません。

夕張には、私の母方の親戚が1組おります。そこの親父はもう定年しているのですが、2人の息子は地元のコネでスキー場と石炭の歴史村に就職しておりました。ともに夕張市の第3セクターが運営しております。スキー場も歴史村も一年を通して特別忙しい時期も無く、それなのに給料は一丁前に都会の同世代の者よりも貰っていたようです。大体にしてスキー場で夏は何の仕事をしろと言うのでしょう(怒)。

同様の話は、とにかく山ほどあるのです。地元に残った若い者の大勢はコネで市に絡んだ職に就き、とうの昔に赤字の市から立派な給料を貰っていたのです。要するに、市に加担して恩恵を受けていた人間も非常に多いのであります。市の財政が大赤字、大金を突っ込んだ事業も全て大赤字、彼らがそんな事を知らない訳が無いのです。
つまりは『共犯』であります。

純粋な被害者は自営業を営む方や、農家の方々、市に全く関係の無い民間企業の方々だけという事になります。そして、その数は驚くほど少ない筈なのです・・・。 こんな事実を知っても『夕張市』を心配し、尚且つ応援する事ができるでしょうか。正直なところ、私にはできません・・・。キッチリと誰の所為かを検証し責任の所在を明らかにしてから、再建策なり援助の方針を決めるのが筋だと思っております。まぁ、木っ端役人共がそんな立派な行動をするとは思えませんけどね・・・(怒)。

ここまでが、冒頭で触れた大きな矛盾であります。
次は、不安でございます・・・(汗)。

たまたま全国で夕張市が口火を切ったものの、破綻寸前の市町村は一体どのくらい存在するのでしょう。今回の夕張でも問題になりましたが『ヤミ起債』という手法があるのです。現実に、夕張市近隣の5市町でも限度額いっぱいの起債をして既に破綻寸前であります。
近い将来、日本中で同様の問題が浮上してくると思います。

その時になって彼方此方(あちこち)で破綻した町を『悲劇の地』として同情する事はできるでしょうか。成人式の予算が無いといえば募金をして、住民を励ます為にと映画祭を敢行できるでしょうか。
もはや遠くの他人事とは思えないのであります・・・。


今回の『ゆうばり応援映画祭』では、【ロッキー・ザ・ファイナル】が上映されます。あのロッキーのシリーズ完結編であります。実はネットでインチキをしてもう観てしまったのですが・・・(汗)。私はロッキーが大好きで今までの作品全てをビデオテープが擦り切れるまで観ております。大根役者と言われようが、ワンパターンと言われようが、何度倒されても最後には勝つあのスタイルが大好きなのです。

不純な行動で己までもを食い尽くし、尚且つまだ周りに迷惑をかけ続ける『夕張市』。

何度でも己の力で立ち上がる【不屈の男・ロッキー】・・・、がそんな街で上映される。


なんとも不釣り合いで皮肉なものを感じてしまいます。
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