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雲のように…月のように…

雲のように飄々と…月のように夜道を照らし…

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競争

私自身もそうでありますが、必ず他と比較して物事を考えてしまいます。人よりも強く、人よりも自由に、人よりも良い生活がしたい、人よりも良い成績を取りたい、この人よりもの『人』が今ひとつよく判らないのであります。世間一般には『大勢の人よりも』とか『平均よりも』という意味合いが強いのではないかと思います。

人間が、比較対象でしか物事を考えられないのは仕方が無い事としても、『人よりも』という曖昧な基準は正直いかがなものかな、と思うのであります。この曖昧な基準が、不自然で歪んだ『競争』を生んでいる様な気がするのです。

『人よりも』という発想を軸にして起こる『競争』は実に歪んでいるのです。『お受験』なんかが良い例でしょう。我が子に将来【人よりも良い暮らしをさせるため】【人よりも良い職業に就かせるため】ってな理由で、最近では幼稚園から入試をさせるのであります。

我が子可愛さで『お受験』を選択する親御さんが増えているのでしょう。将来なるべく競争をせずに済むように、と考えて幼稚園から競わせるのであります。うまく表現できませんが、漠然とした違和感を感じます。

そもそも【人よりも良い暮らし】とは、どんな暮らしの事なのでしょう。何不自由無い暮らしと言うのならまだ解るのですが、ここで人様と比べるのが理解できません。なんとなくニュアンスは、私にも理解できるのです。ただ、なんとなくニュアンスが伝わる程度の曖昧な理由で、競争する事を強いられたり煽られたりする子供は、たまったもんじゃありません。

【人よりも良い職業】これも実に曖昧でございます。楽をしてザックリと儲かる仕事の事でしょうか。それとも、世の不況に関係なく安定した公務員の事でしょうか。どちらにしても、幼稚園時代から目指せと教える職業でもないでしょう。「大きくなったら、何になりたい?」と言う可愛いらしい質問に、「投資家」だの「霞ヶ関の役人」なんて答えられた日にはザワッと寒気がしてしまいます。ウルトラマンや仮面ライダーになりたい、と答えて貰った方が安心できるというものです。

子供に夢すら与えてやる事ができない親が、偉そうに何を教えてやれるのでしょう。子供を愛しているのであれば尚の事、夢に溢れた育て方をした方が良いでしょう。世間一般に大きく差をつけ、勝ち組だのセレブだのと呼ばれ、下品に金品を見せびらかす『成金』を目指す事は、断じて夢とは言いません。それはただの欲に歪んだ『野望』と言うものです。

自分の仕事に誇りを持つ事ができ、贅沢はできないが食っていける。これこそが『良い職業』でございます。その先、儲かるか儲からないか・・・そこは『競争』でございます。愛に満ち溢れた家庭を築き、なおかつ誇れる仕事で大成功する、それが『夢』でございます。

『競争』自体はとても大切な事であります。友達やライバル達と競い合い、互いを磨いていく為に、という意味で・・・。時に競い合い、時に助け合うからこそ、互いに尊敬が生まれ、真の友情が生まれるのではないでしょうか。ちょこっと小金を持って、下品な成金を目指すような競争なんぞ、阿呆らしくてやってられません。

金は確かに大切でございます。金に追われれば仲間を助ける事すらできません。ですが金を目標にした競争は虚しいものであります。そんな馬鹿げた競争を何年もやってきた私が言うのだから、間違いはございません。稼いだ金も湯水のように使ってしまいましたが、なんの満足感もありません。

金になる高級料理屋、もちろんザクザク儲かります。たいして儲かってはいない下町の小料理屋、誰もが唸る本物の美味い料理を出す店です。高い金を払っても案外美味くなかったりするものです。それよりも、万人にあの人の料理は本物だ、と言われる後者のような料理人を尊敬いたします。本物と呼ばれる為に、そして自分を磨く為の『競争』は実に美しいものであります。


『人よりも』なんて曖昧な感覚ではなく、きちんと到着点を見据えた上で己を磨く『競争』をしたい・・・と日々考えております。

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